中国のマイニングプール「路邊(LuBian)」から約12万7千ビットコインが盗まれ、被害額は約4兆4千億円に達する可能性
ブロックチェーン分析企業Arkham Intelligenceは、これまでで最大規模とみられる暗号通貨盗難事件を明らかにした。中国を拠点とする主要なビットコインマイニングプール「路邊(LuBian)」が、2020年12月にサイバー攻撃を受け、12万7,000枚を超えるビットコインが盗まれた。当時の価値は約350億ドルだったが、2025年現在の価格に換算すると約1,450億ドル、約4兆4,000億円相当となる。
この攻撃は約5年間も発覚せず、路邊も犯行グループも公には認めていなかった。Arkhamが2025年8月1日に発表した調査報告によると、事件は2020年12月28日に発生し、マイニングプールが保有していたビットコインの90%以上が奪われた。
路邊は2020年5月時点で世界のビットコインネットワーク算力の約6%を掌握する主要マイニングプールであった。2021年初頭に操業が突然停止し、当初は中国およびイランの規制強化が理由と見られていたが、調査により秘密鍵生成アルゴリズムの脆弱性が原因と判明。ハッカーはブルートフォース攻撃でアクセス権を得ていた。
注目すべき点として、路邊はBitcoinブロックチェーンのOP_RETURNフィールドを使い、ハッカーに対して1,516通以上のメッセージを送信。約1.4BTCを費やしながら資産返還の懸賞や接触要請を行ったが、盗難資金はほぼ動かされていない。ハッカーの最後の動きは2024年7月にウォレット整理が確認されており、現在、彼らは世界で13番目に大きなビットコイン保有者となっている。
この事件は、今年初めに発生したBybit取引所の15億ドル盗難事件をはるかに上回り、暗号資産セキュリティ分野に大きな衝撃を与えている。サイバーセキュリティ企業Hackenの報告によれば、2025年上半期だけでもWeb3プラットフォームで31億ドル以上の被害が出ている。
継続的な暗号通貨盗難事件の多発は、業界全体でセキュリティ強化の必要性を再認識させるとともに、投資家に対しても慎重なリスク管理と資産防衛を促している。