アジアの実業家が10億ドルのイーサリアム準備基金を設立へ

アジアの実業家が10億ドルのイーサリアム準備基金を設立へ

アジアの暗号資産業界で長年の経験を持つ実業家たちが、イーサリアムを買い集めるための新しい信託を立ち上げ、約10億ドル(約1,500億円)を運用する計画を進めている。イーサリアムの価格が3,900ドル台で推移するなか、この試みは世界第2位の暗号資産に対する機関投資の波を象徴する動きとなっている。

このプロジェクトを主導するのは、仮想通貨取引所Huobi(フォビ)の創業者であり、現在Avenir Capitalの会長を務める李林(Li Lin)氏である。彼は、Fenbushi Capitalの共同創設者である沈波(Shen Bo)氏、HashKey Groupの董事長兼CEOの肖風(Xiao Feng)氏、そして美図(Meitu)創業者の蔡文勝(Cai Wensheng)氏と協力している。これらの人物は、2015年のイーサリアム誕生直後から初期の支援者として知られる。

ブルームバーグによると、Avenir Capitalがすでに2億ドルを拠出し、さらに鴻山資本(旧セコイア・チャイナ)を含むアジアの機関投資家が5億ドルを出資する予定だという。残る資金についても現在交渉が続いており、上場企業の買収を通じて信託の構造を整える案も検討されている。

今回の動きは、イーサリアムを準備資産として保有する企業の拡大を後押しすることが期待されている。現在、BitMine Immersion Technologiesが約170万ETHを保有し、SharpLink Gamingがそれに次ぐ。李氏の新基金が実現すれば、世界でも最大級のイーサリアム保有体制の一つとなる可能性が高い。

李氏は2013年にHuobiを設立し、2021年の中国での暗号資産取引禁止後にジャスティン・サン氏へ経営を譲渡した。その後、Avenir CapitalはビットコインETFなどのデジタル資産を中心に10億ドル以上を運用する香港の有力投資会社へと成長した。今回の10億ドル規模のイーサリアム信託は、アジアから世界へのデジタル資産投資の潮流をさらに加速させる試みとなる。