暗号資産市場で取引量の最も多いのはビットコイン「BTC」とイーサ「ETH」であって、相場変動の激しいトークンも数多くあります。例えば、2020年3月にビットコインの相場が4000米ドルになっていたが、2021年の4月に至るところ6万5000米ドル水準を突破しました。そして次の2ヶ月間で暴落が続き、およそ50%の価値を失ってしまいました。1時間だけで10%ほどの値動きを示す仮想通貨も沢山あります。
手っ取り早いもうけ口を探すトレーダーにとって激しい変動性は好ましいかもしれません。とは言え、一般利用者の観点から見たら、極端な変動性はリスクを伴う事がしばしばです。保有目的でビットコインを購入したが、しばらくしたら1万個のビットコインでピザ1枚しか買えないのと、仮想通貨での決済を受け取る企業が大幅な暴落に伴う収益低下は厄介な事なんですね。と考えると仮想通貨市場からステーブルコインへの要求の理由が分かるでしょう。
ステーブルコインとは
ステーブルコインとは他の通貨(法定又は仮想通貨)か金融商品の相場に連動する暗号資産のことを指します。最も普及した仮想通貨(ビットコインなど)の多くは変動性が激しいため、取引に向いていないことがよく批判されます。ここで、ステーブルコインは交換媒体として擡頭してきました。
交換媒体機能を果たすステーブルコインは法定通貨と同様に利用者に購買力を保証しなければなりません。法定通貨媒体の外国為替取引で1日当たりの相場変動は1%を上回ることが殆どありません。ステーブルとは為替レートを一定値に保つ意味を持ち、その為に色な方法が採用されます。それによって変動性の問題が解決されるのです。
ステーブルコインはなぜ重要なのか?
例えば、ステーブルコインのUSDCは米ドルでの資産評価を可能にする上、会計士がこれらの口座の監査を簡単に行えるようなるというのもメリットです。イーサリアムのブロックチェーン上に機能するUSDCは他のステーブルコインと同様、ステーブルでない通貨の激しい値動きを示さなく、以下の評価すべき特徴を持っています。
- 立地や時間と関係なく全世界で利用可能
- 高速・安全・手数料の低い送金
- インターネット上で実装された暗号資産の裏資産になり得る
ステーブルコインを使って何を作れるのか?
変動性軽減
ビットコインとイーサの相場は一分間で跳ね上がったり下がったりします。そこでステーブルコインに裏付けられた資産はその価値が大幅に変わることがなく、投資家に信頼感を与えます。
取引又は価値の保存手段
ステーブルコインは他の仮想通貨と同様に銀行口座を使うことなく直接振り込むことが可能で、米ドルが普及していない地域や安定した法定通貨のない国などを含めて世界各国への送金も可能になります。
金利収益
ステーブルコインを使用して分散型経済プロジェクトに投資することで普通の銀行より高い利回りを得ることが可能と言われています。
低い送金手数料
100万米ドル相当のUSDCを振り込んでもその送金手数料は1ドルも超えないことが魅力的でしょう。
国際化
送金依頼の高速実行と手数料の低さもUSDCの普及を加速させ、国際資金移動は便利になりました。
ステーブルコインの種類
ステーブルコインは担保となる裏資産の種類によって分類されます。その種類は以下通りです:
コモディティに紐付けられたステーブルコイン
黄金や不動産などのコモディティに裏付けられるステーブルコインもあり、その中、多くの場合、黄金が裏資産となるが、複数の商品を採用する仕組みも存在します。
法定通貨型ステーブルコイン
日本円や他の法定通貨を担保として採用するステーブルコインが数多く存在し、白金、銀、穀物や石油に裏付けられたステーブルコインも少なくありません。ところが、裏資産として米ドルが人気度が高く、この場合は定期的監査を行う時に合法性を簡単に確保出来るようになるところがポイントです。
仮想通貨担保型
仮想通貨は他の仮想通貨の担保資産となることもあって、実装に類似点が多いと言われています。この概念で担保仮想通貨の過剰預け入れで基軸となる仮想通貨の激しい値動きを抑えるというのは要です。
法定通貨と比較すると、ステーブルコインの供給量は担保資産の量より少なく、例えば預け入れ枚数と発行枚数の比率が一対一でない仮想通貨担保型のmayは2000ドル担保当たり500ドル相当の仮想通貨しか発行しません。
*シニョリッジ(通貨発行益)担保型ステーブルコイン
シニョリッジ担保型ステーブルとは、裏付け資産ではなく特定の計算方法によって発行される仮想通貨のことを指します。ソフト開発者のRobert Samsがfedコインのホワイトペーパーで暗号資産担保の代替として中央集権型のスマートコントラクトによって発行される代表的なシニョリッジ(通貨発行益)担保型ステーブルのアイデアを提案しました。
ところが、近い過去に多くの利用者がシニョリッジ担保型ステーブルコインの安定性について疑問を抱えるようになりました。今年の5月11日から12日にかけて48時間でTerra (LUNA)の相場が120米ドルから0.02米ドルに暴落してしまい、LUNAショックがその後も続き、本書の出版時点でLUNAの為替レートが$0.000131になっています。
ステーブルコインTOP6
ステーブルコインそれぞれに取り柄があって、その種類も増加中で、最も安定している銘柄をどういう風に見出すかというのが重要です。以下に安定性の観点から見て、一番優れているコインをご紹介します:
1.テザー(USDT、Tether)
テザーは仮想通貨の世界で知名度の最も高いステーブルコインであり、流通量も一番多く、米ドルに1:1ペッグされ、黄金、他の暗号資産、現金などの資産に裏付けらてたコインです。テザーに関して言えば、高い安定性と法定通貨との交換性がよく挙げられます。
2.USDコイン(USDC)
USDコイン(別称USDC)も米ドルペッグのステーブルコインです。この仮想通貨の担保となる資産はアメリカの金融監査機関の独立口座に保存されています。仮想通貨取引所のCoinbaseと金融技術法人Circleによって創立された団体Circleがコインの発行を管理しています。
3. バイナンスUSD(BUSD)
BinanceUSDは1:1米ドルペッグのステーブルコインであって、仮想通貨取引所であるBinanceに代わってPaxosが行っています。他のステーブルコインと同様、すべての流通中のBUSDに対して特定の銀行口座に米ドルが預け入れられています。
4. DAI
DAIは裏資産としてイーサを採用したステーブルコインです。発行枚数はMakerのスマートコントラクトによって管理され、MakerDAOがDAIの非集中型仕組みとなっています。なお、米ドルペッグのDAIのスマートコントラクトは預けられた資産の数量に応じて新しいコインを発行する役割を果たしています。また、複数担保型DAIと単一担保型DAI(SAI)の区別も重要で、単一担保型の場合は裏付け資産の種類が一つだけであって、早期のステーブルコインプロジェクトでよく見られた一形態です。
MakerDAOは非中央集権型自立組織であって、非中央集権型スマートコントラクトを使用して独自のコインの発行などを司っています。
5.TrueUSD(TUSD)
TUSDは100%米ドルが裏付け資産になっているステーブルコインです。流動性の最も高いコインと知られており、法定通貨を送金する時に発生する手数料より安く電子マネーを振り込むことが出来、TUSD預金から獲られる金利が高いというのも魅力的な所です。当プロジェクトの創設法人TrustTokenが他の法定通貨を基軸としたコインTrueAUD、TrueGBP、TrueHKDもリリースしました。
6.USDP(別称PaxDollar、旧称PAX)
2021年8月24日にPaxos Standard (PAX)が名称変更公表を出し、当コインがこれからPax Dollar (USDP)と名付けられることになったのです。USDPは史上初の監査を受けている仮想通貨になっており、その1:1ペッグが特定の銀行口座に保存された米ドルによって確保され、一つのUSDPがいつでも1ドルと交換出来ると考えられています。
ステーブルコイン取引の利益と弊害
現在、すべての先進した仮想通貨プロジェクトがステーブルコインを交換媒体として採用しています。なお、短期的投機であっても長期保有であっても投資の価値を保つ為にステーブルコインが必要不可欠な交換媒体です。といってステーブルコインは他の仮想通貨と同様、メリットとデメリットもあります。それを以下にまとめます:
メリット
- 国境なき、他の仮想通貨と同様、電子ウォレットさえ持っていれば相手の国と関係なく送金可能
- 高速にトランザクションを実行し、第三者を介せずに手数料を殆ど払うことなく電子マネーを振り込むことが出来る。
- 各トランザクションが分散型電子台帳に書き込まれるため、透明度が高い
デメリット
集中化
非中央集権型仮想通貨と異なって、ステーブルコインの多くは中央集権型仕組みによって管理されています。例えばDAIは非中央集権型ステーブルコインとされているにも拘らず、その管理がどんどん集中型になっていく傾向がよく批判されています。
第三者による監査が必要
公に信頼性の高いステーブルコインを提供する為に第三者による監査が不可欠です。
デフレーション性を持つ
ペッグされていない仮想通貨のみ投機的投資に向いているとされています。
安定したコインで収益化を
仮想通貨投資家の殆どはステーブルコインをリスク分散と価値の保存手段の一つと見ています。なお、投資家はステーブルコインを使用して様々な仮想通貨プロジェクトに参入することが出来ます。これでブロックチェーン上の新規通貨発行時に生じる高い手数料を支払う必要もなくなります。また、ステーブルコインは暗号技術に基づいたサービスを利用する最に交換媒体として使用することで元の暗号資産の値動きを抑えることも可能になります。但し、他の仮想通貨と比較するとステーブルコインの用途は異なる場合もあるため、前者が後者に取って代わることが起こると見込みません。一方、ステーブルコインが法定通貨の電子化を間違いなく加速させるとされています。その結果、多くの仮想通貨取引所の流動性が高まり、投資家にとってリスク回避の手段としてさらに普及すると期待しましょう。